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SomAbito は京都府北部の福知山から生まれたキャンプのデザインブランドだ。日本のスタイルキャンプにおいて存在感があり、その道具をいくつか持っている愛好家も多い。

最初に注目されたのは木の道具と焚き火まわりの製品だった。そこから家具、小物、衣服へと広がり、よりまとまりのあるキャンプ道具の世界を形づくっていった。

京都府北部、福知山から生まれた SomAbito。
京都府北部、福知山から生まれた SomAbito。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

SomAbito の第一印象を「華やか」「装飾的」「ひと目で分かる」と表す人は多いだろう。しかし、強い美意識を持つギアブランドというだけでは捉えきれない。

木工、焚き火、卓上の道具がブランドを印象づける。
木工、焚き火、卓上の道具がブランドを印象づける。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

独自性は、道具の見た目だけにあるのではない。最初から明確な土地の気配と、自らのルーツを持っていることにある。

01|名前に刻まれた出発点

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出発点となった KYO-KUKSA。
出発点となった KYO-KUKSA。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

SomAbito の「杣」は、山林、木材、木を伐る人に結びつく古い言葉だ。「杣人」という、地域の林業や木仕事を担う人の背景に近い。だからこそ、SomAbito は後から外見だけを整えた「スタイルキャンプブランド」ではない。

木材、手仕事、地域性が名前と道具に刻まれる。
木材、手仕事、地域性が名前と道具に刻まれる。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

木、火、手仕事、地域の素材への意識は、表面的な意匠ではなく名前に刻まれた土台だ。主宰者たちは公式インタビューで、「奥京都の新しい遊び方を世界に発信する」という考えを語っている。製品だけでなく、イベント、空間、地域の暮らし方へも活動を広げてきた。

地域の素材から育つ、独自の道具の表現。
地域の素材から育つ、独自の道具の表現。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

つまり核にあるのは、ものを売ることだけではない。土地固有の山林の気配を、今の使い手が理解し、使い、共感できるブランドの言葉へ置き換えることだ。

02|二人と、一つの木のカップ

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SomAbito をともにつくった岩城四知と伊東和哉。
SomAbito をともにつくった岩城四知と伊東和哉。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

SomAbito は2014年に誕生した。中心にいるのは岩城四知と伊東和哉の二人。公開資料からは、岩城がアイデアに火をつけ、ブランドを外へ押し出す役割を担っていることがうかがえる。一方、材木会社を営む伊東は木材、建築、地域の資源に深く関わり、地域の記事では伝統的な杣人の系譜を継ぐ存在として紹介されている。

この組み合わせは重要だ。一人が創造性や感覚を動かし、もう一人が素材と地域で実現する力を持っている。

結婚記念日に手づくりした木のカップが最初の一歩に。
結婚記念日に手づくりした木のカップが最初の一歩に。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

始まりの話にも、それが表れている。結婚11周年に妻へ手彫りのククサを贈ろうと考えた岩城は、伊東から丹州材の端材を分けてもらい、制作を始めた。ククサは北欧のサーミの人々に伝わる木製カップ。その体験は後に、京都北部の木材を使う体験キット KYO-KUKSA へと発展する。

使い手が自分の形へ削っていく体験キット。
使い手が自分の形へ削っていく体験キット。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

SomAbito の最初の一歩は、事業計画書ではなく、一つのカップ、一つの関係、一片の木から始まった。

03|木工体験から、道具の世界へ

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木のカップづくりから、幅広い道具へ。
木のカップづくりから、幅広い道具へ。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

京都の木のカップをつくる体験キットの後、SomAbito は「木杯ワークショップのブランド」にとどまらず、より幅広く、より識別しやすい道具の世界へ成長していった。

卓上の道具にも続く鮮明な図柄。
卓上の道具にも続く鮮明な図柄。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

その後、愛好家の間に定着したデザインを理解するには、いくつかの代表的な製品を見ればよい。

一つは、クリスタルのシェードに代表される照明アクセサリー。機能的で素朴になりがちなキャンプの灯りに、華やかともいえる対比を持ち込み、抑制を重んじるアウトドアブランドとは違う存在感を示した。

華やかな灯りと黒い工業的な質感の対比。
華やかな灯りと黒い工業的な質感の対比。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供
クリスタルのシェードが照明に装飾品のような存在感を与える。
クリスタルのシェードが照明に装飾品のような存在感を与える。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

もう一つは、バーナー、焚き火、テーブルまわりのスパイダー系アクセサリーだ。風防やバーナースタンドなどに使われた蜘蛛の巣のような模様が、ブランドを強く印象づける表現になった。

焚き火とバーナーまわりに広がる蜘蛛の巣の模様。
焚き火とバーナーまわりに広がる蜘蛛の巣の模様。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供
図柄が装飾だけでなく構造にも関わる。
図柄が装飾だけでなく構造にも関わる。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供
バーナー、風防、スタンドで構成する製品群。
バーナー、風防、スタンドで構成する製品群。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

さらに焚き火のサイドテーブルなどを見ると、単なるアクセサリーづくりではなく、木、鉄、火、黒い工業的な質感を、一つのキャンプの雰囲気へまとめようとしていることが分かる。

木、鉄、火でつくるキャンプの表現。
木、鉄、火でつくるキャンプの表現。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供
焚き火のサイドテーブルが、部品の世界を家具へ広げる。
焚き火のサイドテーブルが、部品の世界を家具へ広げる。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

直営キャンプ場 SomAbito North Hills Camp の存在にも触れておきたい。ブランドを道具だけでなく、実際に入って体験できる場所にもしている。

実際に入って体験できる North Hills Camp。
実際に入って体験できる North Hills Camp。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供
製品、イベント、地域の暮らしをつなぐキャンプ場。
製品、イベント、地域の暮らしをつなぐキャンプ場。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

04|山林と火から育つ

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地域の関係と実際の使用から育つブランドの言葉。
地域の関係と実際の使用から育つブランドの言葉。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

ここが、SomAbito を書きたいと思う理由だ。市場の空白を見つけて製品を設計するブランドが多い中、SomAbito は逆に見える。まず地域の素材、人の関係、手仕事の経験、二人の実際の興味があり、そこから製品、美意識、ブランドが育っていった。

木、火、黒い金属による識別しやすい雰囲気。
木、火、黒い金属による識別しやすい雰囲気。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

地域のブランドからコミュニティの象徴へ広がった理由は、製品の機能だけではない。道具に、木、火、山林、土地の気配、そして日本のブランドを囲む仲間の感覚が、一貫して感じられるからだ。

地域の木工から、キャンプの暮らし全体へ。
地域の木工から、キャンプの暮らし全体へ。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

2023年の Instagram 投稿では、今後は自らを積極的に「ガレージブランド」と呼ぶことをできるだけ控え、「デザイナーズキャンプブランド」と捉えていきたいという趣旨も示されていた。出発点がガレージブランドであることを認めながら、次の位置を見据える言葉である。

05|歩みの中に残る、土地のぬくもり

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愛好家の文化の中で、独自の存在感を持つ製品。
愛好家の文化の中で、独自の存在感を持つ製品。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

今のアウトドアでは、黒、ミリタリー、工業的な質感、コラボレーション、限定、希少性といった表面的な表現が似通いやすい。その語彙だけなら、誰でも学べる。

素材と色の可能性を広げる後の作品。
素材と色の可能性を広げる後の作品。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

SomAbito を個別に語る価値は、それらを誰より巧みに使うことではなく、背後にもっと早く、深く始まったものがあることだ。スタイルを先につくって物語を補ったのではない。木、山、土地、人の関係が先にあり、そこからスタイルが育った。

移動や暮らしの現場へ戻る道具。
移動や暮らしの現場へ戻る道具。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

心を動かすのは製品だけではない。奥京都の山林に根ざす古いアイデンティティを、今も届くブランドの言葉へどう置き換えてきたか、ということだ。

鮮明な図柄が、機能的な道具を場の中心にもする。
鮮明な図柄が、機能的な道具を場の中心にもする。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

日本のスタイルキャンプブランドと捉えてもよい。より正確には、地域から育ち、愛好家の文化によって広がったブランドの一例である。単一の製品カテゴリーではなく、山林のぬくもりを残した自己像を届けている。

地域から生まれ、人が自然と過ごす時間へ向かうブランド。
地域から生まれ、人が自然と過ごす時間へ向かうブランド。 CSWTEAM/ブランド公式・取材先提供

元記事公開時の編集者注

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SomAbito の主宰者の近況について、愛好家の間でさまざまな話が出ていた。2026年3月20日時点の公開情報に限ると、ブランドと岩城四知の Instagram は同年1月末から更新が止まり、公式サイトは当時「ショップ準備中」と表示されていた。今後、明確な情報が得られれば引き続き伝えていく、というのが元記事公開時の状況である。

Peace.


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