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ミリタリーテイストのキャンプ道具に、恋愛についての言葉を添える。日本のブランド BRUNT のそんな思いを読み取った使い手たちは、ついにはそれを試験問題にした。

キャンプに来たら、まず試験を受けよう。

5月、北京で開かれた Rickey Boys の集まりで、参加者はペンを持ち、BRUNT にまつわる問いに真剣に答えていた。製品名の綴り、一緒にイベントを開いた相手、食事とお酒についての英文が書かれた道具はどれか……。

BRUNT の試験問題に取り組む Rickey Boys の参加者。
BRUNT の試験問題に取り組む Rickey Boys の参加者。 Rickey Boys イベント記録

CAMPsomeWHERE も招かれ、道具に書かれた小さな文字まで覚えてしまう、このブランドの魅力を聞いてみたかった。

しかし発起人の一人 Koz は、最初から好意的だったわけではない。「色を変えただけじゃないの。どうしてこんなに高いんだろう」と思っていた。

やがて初めての CHECKMATE 天板を買い、追加できる部品を調べ、製品名や英文にも目を向けるようになる。高いと感じるところから、時間をかけて考えたくなるところへ。BRUNT に対する見方は変わっていった。

その変化をたどる前に、まず和歌山へ。この道具をつくる人を見てみよう。

料理人は、なぜキャンプ道具を改造したくなったのか

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和歌山県すさみ町の海辺にある建物は、上階が BUSH DE COFFEE、下階が BUSH DE BRUNT。主宰する橋本万吉はもともと飲食業に携わり、2016年にカフェを見老津へ移し、2019年2月には同じ建物の地下にアウトドアショップを開いた。上で海を眺めて食事をし、下で道具を見ることができる。

BUSH DE BRUNT の橋本万吉。2022年7月27日公開の『フィールドライフ』すさみ町記事に掲載された写真。
BUSH DE BRUNT の橋本万吉。2022年7月27日公開の『フィールドライフ』すさみ町記事に掲載された写真。 フィールドライフ/FUNQ

Helinox Creative Center Tokyo による2024年の BRUNT ポップアップ紹介には、店内の写真が掲載されていた。コンクリートの壁を背に、ストーブ、天板、収納箱、部品が並ぶ。橋本自身の製品に加え、選び抜いた他のガレージブランドもある。わざわざ訪れる人がいる理由は、その陳列からも伝わる。現地に身を置いてこそ感じられる空気がある。

CAMP GOODS MAGAZINE は、橋本の姿勢を自分が欲しいものは自分でつくると紹介している。彼にとって「つくる」には改造も含まれる。すでに使いやすい道具でも、色や部品を変えれば、もっと自分の好みに近づけられる。

BUSH DE BRUNT の店内。
BUSH DE BRUNT の店内。 Helinox Creative Center Tokyo

飲食の経験も製品に残っている。H&O と BRUNT の包丁は軍用ナイフの外形を取り入れ、専用ケースを備える。CAMP HACK の紹介では、調理道具としての扱いやすさにも触れていた。無骨な姿も、最後は野菜を切り、食事を準備する日常の動作へ戻る。料理人だった橋本にとって、それは暮らしと地続きの設計だ。

公式サイトに掲げる OUTDOOR VINTAGE MILITARY は、方向性をそのまま示す三つの言葉だ。サンド、オリーブ、黒を繰り返し使い、金属構造を見せ、番号のような文字、英文、ミリタリーの遊びを感じる図柄を重ねる。

Rickey Boys の取材では、「機能的なスタイル」「タクティカルな感じ」という言葉が出た。色だけでなく、露出した構造、接続部品、印字も軍用器材を連想させる。その表現が天板、スタンド、日用品へ広がり、サイトを組む際の選択肢になっている。

例えば H&O と BRUNT の Mosquito mine は、蚊取り線香ホルダーにミリタリーの形を取り入れた製品だ。Helinox の公式紹介では、内部の金属板とアダプターで三脚にも取り付けられると説明している。2024年の Helinox との Lumi Blue 版には青い蓄光表現が加わり、硬派な姿に遊びがのぞく。

Mosquito mine / Lumi Blue の蓄光。原型は H&O と BRUNT の協業で、写真は2024年の BRUNT × Helinox 版。
Mosquito mine / Lumi Blue の蓄光。原型は H&O と BRUNT の協業で、写真は2024年の BRUNT × Helinox 版。 Helinox Creative Center Tokyo

小物からサイト全体へ目を移すと、使い手の選択が見えてくる。北京の会場では、連なるタープの下にテーブル、箱、器具が配置されていた。サンドとグレーを好む人、黒を基調に迷彩を挟む人。実際の組み合わせを見ると、彼らが配色を大切にする理由が分かる。

サンド、迷彩、黒いタープの下に並ぶ、北京の参加者の道具。
サンド、迷彩、黒いタープの下に並ぶ、北京の参加者の道具。 Rickey Boys イベント記録

一つの色替えから、道具一式の組み替えへ

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道具が増えると、小さな悩みが生まれる。好きなテーブルと使いやすいストーブの色が違う。個々には問題がないのに、並べるとしっくりこない。

気にしない人もいれば、ずっと気になる人もいる。BRUNT の改造は、後者の感覚に応える。近い色、呼応する素材、小さなバケツまで含めた組み合わせ。一式を整えた景色が心地よいこと自体が、手間をかける理由なのだ。

日本の使い手かずきによる、BRUNT と他ブランドをサンドと迷彩でまとめたサイト。
日本の使い手かずきによる、BRUNT と他ブランドをサンドと迷彩でまとめたサイト。 hinata/shiromani camp event 現地記事

BRAVO ONE は分かりやすい例だ。Omni の石油ストーブをベースに BRUNT が外観をカスタムする。日本の使い手 JEFFREY は、元の緑には特に惹かれなかったが、BRUNT のサンドは好みに合ったと SNS に記している。同じストーブでも、その外観なら自分のサイトに置きたくなる。

JEFFREY の紹介によれば、サンド色は何度も調整され、文字にはシルクスクリーンが使われ、わずかなずれにもヴィンテージの趣がある。好きなのは色、印字、表面の質感が合わさった結果であり、単に緑をサンドへ塗り替えただけではない。

BRAVO ONE のサンド色と本体の印字。
BRAVO ONE のサンド色と本体の印字。 JEFFREY/JEFFREY’s LODGE

色を好む人は、その濃淡や表面の質感まで気にする。BRUNT の公式 Instagram には塗装 Q&A のハイライトもあり、持ち込み道具の塗装について問い合わせが多いと説明していた。新しい道具を買いたい人だけでなく、使い慣れたものを好みの姿に変えたい人もいる。

4U の小さなバケツでは、方法が異なる。Helinox の紹介によれば、完成品を塗るのではなく、製造時に樹脂原料へ色を加える。素材ごとに方法を選びながら、用途の違う小物を並べても調和することを目指している。

色違いの 4U バケツ。
色違いの 4U バケツ。 Helinox Creative Center Tokyo

以前の Rickey Boys 取材で、発起人たちが最初に買った BRUNT はそれぞれ違った。サンド色の小さなテーブルを家で使い始めた人も、出会ってから他の道具を順に替えた人もいた。共通して色を挙げながら、次の魅力へ進む。すでに持っているものを、さらにどう変えられるか。

CHECKMATE がその例になる。MINIMAL WORKS のインディアンハンガーは下にものを吊るせるが、上には空間が残る。そこへ天板を加えると、ものを置く層が一つ増える。

CHECKMATE の銘板と固定穴。
CHECKMATE の銘板と固定穴。 トレファクONLINE(実物紹介写真)
草地で CHECKMATE 天板を取り付けたハンガー。
草地で CHECKMATE 天板を取り付けたハンガー。 CAMPsomeWHERE WeChat 元記事。個別の撮影者記載なし。

元の配置をすべて変える必要はない。慣れたハンガーに部品を足して、新しい使い方を試せる。BRUNT の CHECKMATE M コンプリートセットは、天板、Indian Hanger、JAMES HOOK、二本のポール、アダプターをまとめたもの。サンドとオリーブがあり、黒いアダプター以外は塗装済みだ。統一した配色への気配りは、架台全体へ及ぶ。

組み合わせはブランドもまたぐ。発起人の @yam_ho は、必要に応じて BRUNT、H&O、Helinox などを組み合わせたサイトを紹介していた。違いを残しながら、一つにまとまっている。

発起人 @yam_ho の秋のサイト。BRUNT と他ブランドの天板、椅子、収納を組み合わせる。
発起人 @yam_ho の秋のサイト。BRUNT と他ブランドの天板、椅子、収納を組み合わせる。 Instagram/@yam_ho

38paleo は、別の協業の形を示す。38explore の 38PALLET をベースに BRUNT が天板をアルミへ変更し、後の Helinox 版では図柄も加えた。収納箱のふた、テーブル、三脚に載せる天板として使える。一枚の板が、組み合わせに応じて役割を変える。

BRUNT × Helinox の 38paleo。2024年のイベント紹介に掲載された版。
BRUNT × Helinox の 38paleo。2024年のイベント紹介に掲載された版。 Helinox Creative Center Tokyo

会場で繰り返し聞いた「買い続けられる」という感覚も、ここにつながる。新しい部品が、古い道具の使い方を増やす。組み合わせを楽しむ人にとって、購入は始まりにすぎず、次にどう置くかを考え続けられる。

道具に書かれた英語のラブソングを、読む人がいる

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冒頭で触れた Koz の見方の変化は、色と部品だけから生まれたのではない。製品にそれぞれ名前があり、並んだ英文にも主宰者の考えが込められていると気づいたことが大きかった。

遠目には、文字もミリタリースタイルの一部に見える。意味を曖昧にした英語を装飾に使っているだけ、と思うかもしれない。しかし近づいて読むと、内容がある。Helinox も、多くの製品に店主が考えた物語が印刷されていると紹介する。試験の「食事とお酒」の問題も、そこから生まれた。

黒い 3sides。「三方」、食事、乾杯についての英文が円盤に記される。
黒い 3sides。「三方」、食事、乾杯についての英文が円盤に記される。 Outdoor Reuse(実物紹介写真)

その答えは Three sides、3sides とも書かれる「三方」だ。名前は供物を載せる日本の伝統的な台から来ている。鏡餅や月見団子も置かれる、食べ物を丁寧に供えるための器である。

使い手がいう「哲学」も、ここでは難しくない。ブランドが大切にすることを道具に記し、読んだ人が共感したり、そのものを覚えたりする。

小さなライト rip shot は、もっと軽やかだ。NITECORE LA10-CRI をベースにした道具に書かれる言葉は、冷えた恋もこの光で再び灯るかもしれない、思いを寄せる人の心に届いてほしい、という趣旨である。

rip shot の小さな外装に書かれた、恋愛についての冗談。
rip shot の小さな外装に書かれた、恋愛についての冗談。 ナカやん/log-farm.com

照明に、恋を後押しする役目を与える。日本のキャンプブログの書き手ナカやんは、その文章をわざわざ転記して紹介していた。製品にこうした遊び心を織り込むところが、読んでいて面白いという。

無骨な道具に、さりげなく詩のような言葉を書く。そこには、照れのあるロマンが感じられる。

BRUNT は高いのか

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好きな理由を聞いた後で価格を尋ねると、Rickey Boys の発起人たちの答えは分かれた。

今は受け入れられる価格だという人もいれば、他のキャンプ道具に比べれば、まだハードルがあるという人もいた。始め方については、まず実用的な部品を一つ選び、一式を急いで替えなくてもよいという助言もあった。

見た目、改造、文字は、好きになる理由にはなる。しかし、すべての人に同じ買い物の答えを出すわけではない。天板一枚で満足する人も、少しずつ色を揃える人もいる。本当に使いたいものを選べば十分で、数で好意を証明する必要はない。

発起人たちは日本の関連イベントへ行った経験から、北京でも集まりを開きたいと考えた。取材では自分たちを「運び手」と呼び、体験した遊び方を身近な仲間へ伝えたいと話していた。普段の道具談義に、会って話せる場所ができたのだ。

Rickey Boys のゲームを、周囲の友人も熱心に見守る。
Rickey Boys のゲームを、周囲の友人も熱心に見守る。 Rickey Boys イベント記録

発起人の一人、浩夫は BRUNT を通して今の仲間や中国各地の愛好家と知り合ったと話した。最初はサンド色の天板が気に入っただけかもしれない。部品や組み合わせを語り、キャンプを約束するうちに親しくなる。その関係は、持っている道具の数よりも大切だろう。

ここまで聞くと、「色を変えただけ」と思っていた人が、次第に夢中になる理由も見えてくる。色は好みに合い、部品は自分の考えで組める。小さな英文にさえ、主宰者の性格と楽しみがある。同じものを好きな人同士には、話題が尽きない。

北京の Rickey Boys 集合写真。
北京の Rickey Boys 集合写真。 Rickey Boys イベント記録

その硬派な外見の内側は、rip shot 一つでも十分に伝わる。ミリタリー好きのこの人は、心にたくさんのラブソングをしまっているのだ。

関連映像

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CAMPsomeWHERE の Rickey Boys 現地映像には、発起人たちへのインタビューと集まりの様子を収録している。

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編集時の確認資料

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以下はブランドの背景と製品協業の確認に用いた資料であり、現地取材や筆者の見解に代わるものではない。

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